第65回 長崎市民美術展 2016
懐かしいかな、長崎市民美術展といえば10年以上も昔の学生時代に出品してました。
デザイン部門に限ると、長崎市とその近郊のデザイン教育に取り組まれている学校の生徒さんが出品されています。
そんななじみのある展覧会に、昨年ご縁がありまして審査員を担う事になりました。
その際に出品者の減少や、運営委員の担い手が乏しくなっている等の問題に直面している事をお聞きし、何かお手伝いしたいと思いました。
ただ、2年連続審査員は務められないようでしたので、今年はポスター等のグラフィックでお手伝いする事に。
長崎県の美術展に置ける立ち位置としては、市展より「県展」の規模や権威の方がある(ようで)、市展の会員を辞めて、県展の会員に移行する方もおられるそうです。そうした状況を踏まえ、展覧会としての価値を一新し、向上させるグラフィクを提案しました。
制作意図としましては、この長崎市は異国に開かれた土地であったため、レンガとは切っては切れない地。
長崎の洋館に数多く使われ、その中にも浦上天主堂があります。
1945年8月9日、原爆の爆風とともに吹き飛ばされた浦上天主堂のレンガ。
長崎市展はその6年後に産声を上げ、戦後の復興とともに一つ一つ歴史を積み重ねてきました。
浦上天主堂も1980年、レンガタイルで改装され、当時の姿の様に復元されています。
私たち創作者が、今こうして芸術に身をおけるのは、この現代が平和であり、 この市展を積み重ねてきた先輩達の努力の賜物であると感じています。
創造が破壊を凌駕する平和と芸術のシンボルとして、このレンガが次の世代にも積み重ねられますように、心から願ってデザインしました。
…というのが、先行して出来たビジュアルに対し、実行委員の方と積み重ねるように作っていった制作意図です。
こうすることで65年続けてきた先輩達への敬意と、次世代を担う若者達への招待状として、このデザインが機能すればと思います。
それから、長崎で仕事をしていると、地場のエンドユーザーが「デザインの価値を理解していない」という話は良く聞かれます。
この分野に限らず、他の芸能の分野の方と話していても同様のことを行っております。
私自身、今のところ県外へ移住する予定は無く、生まれ育った長崎市でこの仕事を続けようと考えています。
この分野で生きてゆく者として、デザイン等の芸術の分野が価値あるものになるようJAGDAの地区活動等を通し、時間はかかりますがデザインの価値を上げていければと思います。
[展覧会についてはこちら]
http://www.city.nagasaki.lg.jp/shimin/190001/191001/p025839.html
[募集要項・応募用紙についてはこちら]
http://www.city.nagasaki.lg.jp/shimin/190001/191001/p025839_d/fil/65shitenyoukou.pdf