杉谷本舗VI
いよいよ年末。例年それなりに忙しくしてきましたが、入稿・提案等は12月半ばまでにほぼ落ち着き、デザイン業務以外の処理と、年明けの準備とで割とスローな日々を過ごしています。
そして今年の仕事を総括すると、ほとんどはこの杉谷本舗さんにエネルギーが注がれていたのかなと思います。
兼ねてから自社のロゴマークからパッケージ、チラシ・パンフレットなどの広告宣伝などに違和感を感じていた杉谷社長が、ご親戚の伝統技術ディレクターでプランナーでもあるt.c.k.w 立川 裕大さんにリブランディングを依頼。
そこでデザイナーとして白羽の矢が立ったのが自分でした。
東京を拠点に全国に留まらず、世界もまたに掛けてご活躍されている立川さんの目に止まった理由はよくわかりませんが、母の癌の闘病生活や、子どもの病気の通院などで足下が落ち着かない状況でしたし、200年を超える長崎の優良企業というプレッシャーもあって、この仕事がやれるのか不安でした。
杉谷社長と初めてお会いした際、ちょうど熊本地震が起こったばかりのときで、売上げの母体である観光バスが激減していた時期。「恩のある熊本にカステラを届けさせ、帰りにゴミでも拾って帰ってこいと営業マンに言ったよ」と言われていたり、母が亡くなった翌月には香典を頂いたり、従業員のことを家族の様に大事にしたりと、温かい人柄にも魅かれましたし、業績改善のお手伝いが出来ればとお引き受けしました。
まずリブランディングで着手したのが、杉をモチーフとしたロゴマークの改変でした。
今までのロゴは長い間使われてきましたが、社内でヒアリングしたら、キャッチフレーズである「おいしすぎたに」はとても親しまれていましたが、ロゴについてはそこまで愛着は強くないようでした。
立川さんからは老舗としての品格をオーセンティックにロゴマークを作成して欲しいという意向がありました。
また、縁起の良い柄とされる「七宝紋様をモチーフとしてはどうか」との提案から、おこしで始まった会社という事もあり、お米を融合させて作り上げました。
4つの米は「地域」「お客様」「従業員」「取引先」を表
また、マークの色はたわわに実り、太陽の光を燦々と浴び
そもそも七宝紋様とは何ぞや?かと言いますと縁起の良い吉祥文様として扱われており、 仏教の言葉で、金・銀・瑠璃(るり)・玻璃(はり)・珊瑚・瑪瑙(めのう)・硨磲(しゃこ)の宝物を意味します。 円が四方八方または十字に広がることから仏教の7つの宝を表す「七宝紋」と呼ばれるようになったそうです。中国から渡ってきて、日本の大衆文化の中で吉祥文様として意味付けされたようです。
現在、キービジュアルである七宝紋様をもとにパッケージから包装紙などいろんなアイテムを改変中です。これからリニューアルすべき商品は多々あります。この七宝と共に幸せの繋がりが、会社の方々をはじめ、杉谷本舗さんを愛して下さっている地域や観光客の皆様へ、永遠に続くことを願いデザインしていきます。まずはロゴマークが変わりました事をこの場でご報告いたしました。これからも「おいしすぎたに」の杉谷本舗さんをご愛顧くださいませ。
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